アラカルト

08:体内時計は25時。朝の光がリセットの決め手

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人も動物も、体内時計を持っています。

体内時計とは、もともと体内に組み込まれている生きていくための時間割のようなもので、
睡眠・食事・運動などの生活リズムをコントロールしているのです。

人間が本来持っている1日の単位は、実は25時間(概日リズム)なのですが、
朝起きて太陽の光を感じることで、体内時計をリセットして1時間早め、
1日24時間の周期に合わせているのです。

ヒトの場合、体内時計は、ちょうど目のすぐ裏側に位置している視床下部の視交叉上核と呼ばれる部分にあり、神経ネットワークによって、
脳の中心部にある松果体という豆粒大の器官と結ばれています。

この松果体から分泌されるメラトニンが、体内時計のリセットに重要な役割を果たすのですが、
メラトニン自体がリセットするというのではなく、あくまでも、
目が朝の太陽光線を感知したときに、時計がリセットされるわけです。

その時点から時計がスタートし、明るい昼の積算が十数時間になり、
薄暗くなれば体内時計が松果体に指令を出してメラトニンを分泌させます。

つまり、網膜から光情報を受けて毎日24時間に修正しながら、
夜になると松果体からメラトニンを分泌させて全身に夜であることを知らせ、
一日周期のバイオリズムを司っているのです。

そのほかにも生体時計を調節するものとして、
現在「クロック遺伝子」というものも発見されています。

この遺伝子を壊されたマウスは、睡眠障害など時間に関する異常を生じます。

ただし、この遺伝子はひとつではなく、複数の遺伝子、
少なくとも10以上の遺伝子が関与していると考えられています。

太陽の光によるバイオリズムは、
一日周期のものだけではなく、1週間単位のもの、月単位のもの、
更には1年周期のものも存在するのです。

「毎年春になるとうきうきした気分になる。」
「冬はなんだかうっとうしい」
などと一年を通して、季節によって気分に変化が生じますね。

これは気候なども考えられますが、
主に太陽光線の変化、日照時間が最も重要であると考えられているのです。

光は視覚を通して脳内メラトニンの合成量を左右し、
日照時間の長短により年単位で起こる様々な生物リズムを生み出します。

代表的な例としては、リスやクマなどの北方動物の冬ごもりなどが挙げられます。

人間においては、精神的なリズムが生じて、社会統計学が明らかにしているように、
冬は殺人事件などの凶悪犯罪が増えます。

また、「冬型うつ病」などで自殺者も増えることが知られています。

このように体内時計が一定のリズムを刻み、
それを外的要因、特に光が作用して自然の周期に合うようになっているのです。

朝の光を 部屋にも、身体にも採り入れることは健康を促進し、心身を活性化する効果があるのです。

鬱的症状や神経失調、元気の出ない人は特に、この習慣をつけてもらいたいものです。