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104:十二直(じゅうにちょく)について

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暦の中段には、「たつ」「のぞく」「みつ」「たいら」「さだん」などのひらがなが記されていますね。
これは、「十二直(じゅうにちょく)」といわれるものです。
「十二直」は一般に運勢暦の中段に書かれるため、単に「中段」とも呼ばれます。

「十二直」の「直」は、「当たる」という意味を持っていて、よく当たる暦注だと永い間信じられてきました。

日本に於ける「十二直」の歴史は古く、飛鳥時代〔592~628年)から、昭和の初期まで、かれこれ1300年
あまりの間、ずっと最も一般的な日々の吉凶判断でした。

「大安」「仏滅」「友引」などの六曜は、江戸時代末期から流行り始め、第二次世界大戦後に再び大流行して、
今日の風習となったものです。
「祝い事はなるべく大安に」「仏滅には祝い事も法事もしない」「葬式は友引の日に出さない」などの風習は、
「六曜」によるものですが、まだ歴史は浅く、「十二直」は古くから永く使われてきた歴史あるもので、今でも、
神社の神事や、地方の風習には、「十二直」が使われているものがあります。

例えば、今日でも建築業界では、上棟式(家屋の棟木を上げるにあたり工匠等が神を祀って行う儀式)には、
「十二直」の「たつ」「みつ」「たいら」「さだん」「なる」「ひらく」の日を選ぶことが風習になっています。
工事には、人身事故が起きないよう、また台風、土砂崩れ、地震などの自然災害に遭わないよう、
匠も施主も心を合わせて祈るわけですから、良き日を選びたいのは当然で、悪い日に施工して後でトラブルに
なっては大きな損害となりますからね。^^;

北斗七星は古代から畏敬の念を持って見られた星座の一つですが、この星の動きを吉凶判断に用いた
のが「十二直」です。
柄杓の形をした北斗七星の柄に当たる部分(斗柄)が、北極星を中心にして天球上を回転することから、
これに十二支による方位と組み合せて十二直を配当するのです。
信仰され、畏敬された北斗七星に由来するからこそ、「十二直」は1300年余りも永い間、日本人に
信奉されてきたのでしょう。

十二直の始まりは「建(たつ)」です。
冬至の頃(旧暦11月)に北斗七星のひしゃくの柄の部分が真北(子)に向くため、この日を「建子」の月と
しました。
そこで旧暦11月節(大雪)後の最初の子の日を「建(たつ)」と定めたのです。

このように、十二直は、節月と日の十二支によって定めるもので、節月ごとに、
その月の夕刻に斗柄が向いている方位の十二支と、日の十二支とが同じになる日が「建」になるように
配当します。
なにやら、霊験アラタカナ感じがするでしょう?〔笑)

例えば、2024年2月の「建(たつ)」の日を出してみましょう。
今年は2月4日が立春で、旧正月節となります。
旧暦正月節は、立春後最初の寅の日を探し、2月8日が最初の「建(たつ)」の日となります。
後は12日毎に巡りますので、2月20日が「建(たつ)」の日になります。
折りしも、私の誕生日。めでたい。(笑)

なお、12の節気の日には前日の十二直を繰り返します。
こうすることによって、1年たつと順々にずれた十二支が元の組み合わせに戻ることになります。
例えば、2024年2月4日の立春は、前日の3日の十二直と同じ「成(なる)」
となり、2日「なる」が続きます。

単純に十二直を繰り返すのではなく、こうして節気ごとに少しずつずれていくことが、十二直の吉凶の
神秘性を生み出し、それによって庶民の間で根強く人気があり続け、よく当たると信じられて来たのかも
しれませんね。^^

さて、では、諸説ありますが、「十二直」の語と意味、吉凶を述べておきましょう。

 

旧暦を使っていた時代には、「十二直、このかしら字を覚ゆべし。たのみたさとや あなおひと」という歌が
あったそうです。

永い歴史の中で、よく当たると信奉され、日の選択に用いられて来た「十二直」ですが、日の作用や吉凶
など、要は迷信に類することです。^^;

ただし、風習として儀式や当地のしきたり、人への気配りを重んじ、出処進退に心を強めたり、律として
自分の生活や行動を守ることは、大事なことですね。

干支や九星、二十七宿などは、各々個人によって、日の選択に効果や作用が違うものですが、よく学習
しないと活用が専門的で難しいものですから。^^;
よく学習してもなお、その日と行動の良否は、絶対的に判別することはできないものです。。
良い日に着手、実行しても、その人の因縁や諸々の複合要因によって、また実行の仕方によって、
ことの成否は分かれるものです。

陰陽、吉凶、災福、いずれも糾える縄の如し。人生、万事、塞翁が馬。されど、後悔、先に立たず。^^;
要は気と心の用い方ですが、自他共によしと思える選択・決意が、大事だと思いますよ。
大事な日取りであるからこそ、無事成功を期して、色んな観点から考察し、縁起や風習も活用する
ことが効果的ですね。^^