アラカルト

12:老化防止・精力減退に、亜鉛

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よくミネラルという言葉を耳にしますね。

地球上のものは全て「元素」という、これ以上小さくできない単位のものが組み合わさってできていますが、
人の身体も例外ではありません。

人の身体を組織しているのは、95%が、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、酸素(O)の4つの元素であり、
残りの5%には16種類の元素が含まれています。

これらが人間の生理機能を補助するのに欠かせないミネラルであり、
その16種類のうちのひとつが亜鉛(Zn)なのです。

亜鉛はDNAやたんぱく質の合成に働く酵素や、細胞や組織の代謝にかかわる酵素など、
300種類以上の酵素の構成成分として重要です。

亜鉛の効能は、以下の通りです。
● 病気の予防と回復
● 成長ホルモンの機能維持
● 皮膚の健康維持
● 視力の維持
● 味覚、嗅覚の保全、唾液の分泌
● アルコール分解
● 老化防止

亜鉛が不足すると、成長や発育の遅れ・肌荒れ・味覚障害・肝臓の異常などを引き起こすといわれています。

また、亜鉛は「セックス・ミネラル」という異名があります。

これは亜鉛が男性の前立腺で性ホルモンの合成にかかわっているからです。
亜鉛が不足すると、男性は精子の生産が少なくなり、子どもができにくくなり、男女共に、精力が減退します。

また、亜鉛の欠乏は老化を進行させるのです。
老化を防ぐために必要なのは、まず古い細胞を壊すこと。
人間の身体は、古い細胞が壊れないと、新しい細胞は生まれません。
つまり、細胞を壊す作業である【細胞の分解】が必要なのです。
古い細胞を分解するために働くのが【細胞分解酵素】です。

この細胞分解酵素が働くために欠かせないのが亜鉛です。
亜鉛が不足していると、細胞分解酵素が働かず古い角質が残り、老化につながってしまうのです。
細胞の老化の影響が最初に現れるのが、舌なのです。
私たちは下の表面にある味蕾(みらい)という細胞で、食べ物の味を感じています。
この細胞は食事を摂る度に機能が低下します。
およそ1ヶ月という早いサイクルで生まれ変わるため、たくさんの亜鉛が必要なのです。
舌は亜鉛不足の影響を一番受けやすいため、【味覚障害】となって現れるのです。

ジャンクフードや、ファーストフードが美味しいと感じ、ちゃんとした料理の味の違いがわからない人は、
確実にその兆候があると言われています。

亜鉛は体内で合成されないので、食品からとらなければなりません。

簡単に言えば、亜鉛を含む食品をとればよいのですが、現代は土壌中のミネラルが少なくなった土地が多く、
その地で育ったもののミネラルも減少してしまっているのです。

ただでさえ、少なくなっている亜鉛を、効率よく摂取するためには、どうしたらいいのでしょう?

1. まず偏食をやめることです。

インスタント食品やファーストフードなど、手軽なものばかりを食べるのをやめることです。
若い世代に味覚障害が増えているのは、偏食がかなり影響しています。
これでは亜鉛はなかなかとれない。
成人前の子達は、特に気をつける必要があります。

2. 加工食品に注意

ほとんどの加工食品に含まれている、ポリリン酸ナトリウムやフィチン酸などの食品添加物は、
亜鉛を体内から排出してしまうはたらきがあり、フィチン酸という天然物質は、亜鉛を吸収しにくくする作用があります。

ポリリン酸ナトリウムは、弾力を増し、変色防止や舌触りをよくするために添加するもので、
かまぼこや清涼飲料水などに含まれます。

フィチン酸は、変色・変質を防止し、色をよくするためなどに添加するもので、
つけものやパン、しょうゆなどに含まれます。

3. アルコールはほどほどに

アルコールを分解するには、たくさんの亜鉛が使われます。
また、亜鉛が不足しているとアルコールを分解する酵素の働きが鈍くなるため、
お酒に弱くなった人は、亜鉛不足の可能性もあります。
お酒好きな人は、特に亜鉛をとるよう心がけることが重要です。

亜鉛の必要摂取量の1日の目安は、男性12㎎、女性10㎎ です。

厚生労働省では、1日の摂取量を成人男性は11~12㎎、成人女性は9~10㎎と発表していますが、
アメリカやカナダなどの先進国では、男性は1日15㎎、女性は12㎎と決められているのです。
でも、普段の日本人の食事では、平均6~9㎎しかとれていないそうです。

1日の目標の半分しか摂取できていないので、12㎎とはいわず15㎎を目標に摂取するようにしたいものです。
ちなみに、亜鉛は、他のミネラルに比べて、身体が亜鉛を受け付ける許容範囲が広いため、
たとえ多めに摂取しても副作用は出ないものです。

そのため、サプリメントならば、亜鉛がお勧めナンバー1です。

亜鉛たっぷり食品のナンバー1は、牡蠣(カキ)です。

カキは、大粒のものなら1つ食べれば1日の所要量を軽くクリアすることができます。
カキは100g中に40~70㎎の亜鉛が含まれており、大粒のカキなら1個30g程度あるのです。

そのほかの食品では、抹茶や緑茶に含まれます。
現代薬膳として、亜鉛を摂る料理レシピをご紹介しましょう。

カキのイタリアン
材料(4人分) カキ大粒4個、ベーコン20g、パン粉大さじ4、ニンニクひとかけ、とろけるチーズ、
パセリ、、オリーブオイル

作り方
1. ベーコンとニンニク、パセリをみじん切りにする。
カキはよく洗っておく。
2. フライパンにオリーブオイルを入れ、ニンニクをいためて香りがたってきたらベーコン、パン粉
パセリの順に炒めて取り出しておく。
3. 耐熱皿にカキを並べ、オリーブオイルをかけ、2をかける。
さらにチーズをのせ、オーブントースターで焼く。

抹茶プリン
材料(4人分) 抹茶大さじ1、牛乳450cc、プリンの素1袋(約60g)

作り方
1. 抹茶を大さじ1の湯で溶く
2. 鍋に牛乳とプリンの素、1の抹茶を入れて中火にかけ、沸騰したら火を止めて型に流す。
粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やし固める。

カキ・緑茶のほかに、亜鉛が比較的多く含まれる食品は、
魚の内臓、煮干、カニ、レバー、牛肉、ゴマ、ナッツ類、小麦胚芽 などです。

よって、ここに、薬膳の観点から、牛肉とカシューナッツのピリカラ炒めもレシピしましょう。

1. 牛肉はスライスを、塩コショウ、オイスターソースで下味をつける。
2. ピーマン(赤、緑など何色か混ぜると見た目がきれい)、たまねぎも1.5㎝角くらいに切る。
3. フライパンにごま油を入れ、みじん切りのニンニク、種をとって輪切りにしたとうがらしを入れ
火をつけ、香りがたってきたら、1の牛肉に片栗粉をまぶして入れる。
(辛いのが苦手な人は、早くからとうがらしは入れないほうがいいです。)
4. 牛肉におおかた火が通ったら、一旦、皿に取り出し、油をたして野菜を炒め、しんなりしてきたら
牛肉を戻し、さらに炒め、塩コショウ、オイスターソースで味を調える。
5. 最後にカシューナッツ(ライトソルトがベター)を入れる。

以下の兆候がある人は、亜鉛をよく摂るようにしましょうね。

○ スリ傷や打ち身の痕が治りにくい
○ 記憶力が鈍った
○ 肌が荒れてかさつく
○ 勢力が衰えた。
○ 男性は中折れする、女性は生理不順だ
○ 酒に弱くなった
○ 目が疲れやすく、暗いところでものが見づらい。
○ 爪に白い斑点ができたり、表面にひび、縦じわなど凸凹がある
○ 抜け毛が多くなった
○ 貧血気味だ
○ めまいがすることがある
○ 料理の味を薄く感じる
○ 風邪をひきやすい