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22-1:秋の味・秋の簡単な薬膳料理 レシピ付き

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日本では夏の暑さが一段落着いた時候を『残暑』と呼んでいますが、中医学では『長夏(ちょうか)』と呼んでいます。
この『 長夏』と呼ばれる時候は、『脾・胃』を傷めやすい季節とされます。
脾と胃は、現在でいう胃腸とその機能にあたります。
脾と胃は、冷たい飲食物を取りすぎると、傷んで調子を崩してしまいます。

また、脾は湿気が嫌いな臓器なので、湿気の多い梅雨から夏にかけては、調子を崩しやすいのです。
それが秋になると、夏の暑さや湿気で傷んだ胃腸には、寒暖の差が激しいことが大変な負担となります。

この時期は、まず、夏に乱れた食生活を直して、胃腸に良い環境を整えることが大切です。
刺激物や冷たい飲食物、脂分の多い食事を控えるのはもちろんですが、刺激物イコール辛味ではありません。

「痔になったら刺激物を控えなさい。」という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。
もちろん、出血している時に辛いものを摂ったら、これは良くないに決まってます。
しかし、「痔」の原因である「鬱血」をしないようにするためには、血行を良くする香辛料は大切なのです。

事実お隣の国「韓国」ではキムチをたくさん食べますが、「痔」の疾患は日本よりずっと少ないのですよ。
薬膳の国、中国で、辛い中華料理といえば四川料理です。
麻婆(マーボー)豆腐、坦坦(タンタン)麺、エビのチリソース炒めなどが有名ですね。
中国の中央部、長江の上流の四川省は盆地で、厳しい自然環境のために寒暖の差が激しいからこそ、
唐辛子、にんにく、ショウガ、ネギ、山椒などの香辛料をたっぷり使った辛い味付けが特徴なのです。

辛い味は、漢方では気剤(気のめぐりをよくする)であり、金気に属し、臓腑・器官では肺・大腸・鼻・皮毛に関係します。
辛味は、身体全身の新陳代謝を良くするためには、なくてはならない重要なものです。
唐辛子などの辛味は、胃腸の働きを高め、便秘・下痢が治り、
発汗して喉痛・咳・痰を解消する、肺と大腸の為の食べる薬と言えるのです。

唐辛子を入れて漬けた白菜に、七味を振りかけて食べ、タクアンをお菜としたかつての日本人は、
便秘や下痢の苦労はしなかったといわれています。
現在の日本では、若い娘さんから老人にいたるまで、生野菜・果物の繊維質が良いと洗脳されて、
却って便秘で苦しんでいるようです。^^;

寒性の生野菜・果物の多食は、立派に、便秘の原因に一つになっているのですよ。
香辛料不足では、大腸は動きません。
辛味好きは快便であると、統計にも裏付けられています。

ま、薬と思って、わずかでも、この季節は辛味を補って下さい。^^v

簡単にできる、四川風マーボー豆腐をご紹介しておきます。

材料:(4人分)
豆腐 …… 1丁
ミンチ肉…… 200g(合挽きでも、鶏肉でもいいけど、肺・大腸系の気を補うなら鶏がええのよ。)

A にんにく(みじん切り) …… 4片
生姜(みじん切り) …… 4片
白ネギ(みじん切り) ……12~15cm
トウバンジャン(なければ赤味噌と一味を混ぜて) …… 大さじ1

 

一味唐辛子 …… 大さじ2
山椒 …… 大さじ2
鶏がら(または中華)スープの素を混ぜた水…… 4カップ (800cc)
ごま油(またはラー油) …… 少々
水溶き片栗粉

作り方:

1. Aを香りが出るまで炒める。
2. ミンチ肉とBを、1に入れて炒め混ぜる。
3. 2が混ざればスープとさいの目に切った豆腐を入れ、一煮たちさせ、1分ほど煮る。
4. 水溶き片栗粉を入れてとろみをつけ、ごま油(またはラー油)を少々入れて混ぜれば完成。

ところで、「夏バテにはウナギ。」というセリフも、聞いたことがあるでしょう?

実は、秋から冬にかけてのウナギは、脂が乗ってきて、
こってりしたウナギが好きな方には、これからが、もっと美味しいシーズンなのですよ。^^

せっかく買って来たのに、
冷めた蒲焼は、電子レンジやフライパンなどを駆使しても、やっぱり硬くなる・・・・と悩んでいる方、いらっしゃいませんか?

熱したフライパンにゴマ油を敷き、蒲焼の皮側をちょっと焼いて下さい。

そこへ上から溶き玉子をまわして加え、蓋をして弱火で蒸し焼きにします。

ちょうど玉子に火が通ったかな?と思う頃に火を止め、1分ほど置きます。

ウナギが驚くほどふっくらと柔らかく、美味しくなりますよ。

さあ。山椒と唐辛子をパラリとかけて、召し上がれ。^^

旬の食べ物は、その季節の健康に大きく貢献してくれます。