アラカルト

32:2006年の通年薬膳考・・・その3 苦味の料理

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ヒトの味覚は、小学校3年から6年にかけて、大きく形成されます。

舌の表面にある味蕾という味覚受容器が、この時期に発達するからです。

小学校の給食は、この意味からもさまざまな味付け・献立を用意するのですが、
この時期、ジャンクフードやレトルト食品、コンビニ料理などで平板、かつ、
化学調味料まみれの味を定着させると、一生タタルことになります。(笑)

苦味こそは、大人の味覚です。^^

多くの毒には苦味があり、本能的にも幼少期には受け付けません。
甘さこそ美味と感じて、もちろん摂り過ぎれば、肥満や生活習慣病への道ですね。^^;

甘い言葉よりも、苦い言葉にこそ、成長と進化の栄養がある。
用いられれば、大人の証かな?(笑)

苦味だけを大量に味わうのではなく、カレーにビッターチョコ入れたり、
天然の海塩のニガリのほのかな苦味は料理の味を引き立てるものです。

旬で言えば、初春には、そろそろとフキノトウが出てくるようになるでしょう。

全ての野菜や山菜に含まれる独特の苦味成分であるポリフェノールやアルカロイド類は、
新陳代謝を活発にし、消化を促進する働きがあります。

特にフキノトウは、クエルセチン、ケンフェノールを含み、
せき止めに効き、この独特の苦味は、健胃整腸の薬理効果が大きく、春先の花粉症にも効くのですよ。^^

苦味成分のアルカロイドは、肝機能を強化し、だるさ疲労を解消します。
また、新陳代謝を促進し、細胞を活性させます。
同じく、苦味成分のケンフェノールは、咳止めのほか、活性酸素など、発ガン物質を除去してくれます。
フキノトウやフキの香り成分のフキノリドには、胃腸の働きを促進する効果があります。
フキノトウなどの苦味を和らげる食べ方は、テンプラです。^^
旬を揚げて、お召し上がり下さい。^^v

八百屋さんで手に入る野菜で、苦味と言えば、何と言ってもゴーヤですか。^^

ゴーヤ、別名“ニガウリ”は、面に小さいこぶがたくさんあり、
そのカタチがライチに似ていることから、
学名「ツルレイシ」ともいわれるウリ科の植物です。

原産地は熱帯アジアで、日本へは中国を経て17世紀に渡来してきました。
沖縄では、「ゴーヤー」と呼ばれていて、
最初に作った人の名前が胡屋(ゴヤ)氏だったということから
名付けられたという説もあります。

1992年にウリ類の害虫であるリュウキュウウリミバエの絶滅宣言がだされてから、
沖縄の野菜は島外への持ち出しが可能になり、
それから、徐々に全国区に広がった沖縄の野菜です。

沖縄の他、九州南部でも生産され、よく2~10月頃まで出回りますが、
現在では八重山諸島各地で年間通して作られていますので、
夏に限らず食べられるようになりましたね。^^

品種改良が進み、いくつかの品種がありますが、「中長(ちゅうなが)」「群星(むるぶし)」「汐風(しおかぜ)」、
丸みを帯びてぶっくりしている「アバシー」などが有名です。

よく日が当たったものは苦味が軽減されるようで、沖縄のゴーヤは本土のものより苦味が少ないと言われています。

いずれも、良いゴーヤとは、イボイボがシャッキリしているもの。
表面がつぶれかかっていたり、しわが寄っているものは鮮度が落ちている証拠です。

ゴーヤは「苦瓜」の名前の通り、独特の強い苦味がありますが、
ビタミンCやミネラル分を多く含み、食欲増進かつダイエット効果もあります。

中国では、ゴーヤは発汗作用があり、涼を呼ぶことから涼瓜とも呼ばれています。

実はゴーヤのビタミンCは、加熱しても壊れない優れものなのですよ。^^

代表的な料理は、豆腐や豚肉などと炒め合わせた沖縄の郷土料理「ゴーヤ・チャンプルー」ですね。

レシピをしたためてみましょう。^^v

<材料>(4人分)
ニガウリ(400g) 豚バラ薄切り肉(150g) 木綿豆腐(1/4丁)
塩(小1) 卵(2個) 削りかつお(大1~2) ゴマ油(適宜)

<作り方>
1.ニガウリは、縦に切り、種とその周りの白い部分を取り除き、薄切り。
軽く塩をふりしんなりさせて水気をとる。
(苦味をさらに取り除くには、これを軽く湯がいて、冷水につけとくと良いですよ。)

2.豚肉は短冊切り、豆腐は2cm角に切り、水気を切る。

3.フライパンに油を熱し、豆腐に焼き色がつくまで炒めて取り出す。

4.再び油を入れ豚肉を炒め、ニガウリも入れ、強火で炒める。

5.塩(小1)を入れ、豆腐を戻し、削りかつおを入れる。

6.といた卵(2個)を入れ、全体に混ぜ合わせて出来上がり。

レモンの汁をかけ、好みで唐辛子一振りして食べると五行も完璧です。敢えて甘味を省きました。^^