アラカルト

41:春の薬膳素材、クコ

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春、自然界すべてのモノが、のびやかに成長する時期です。

人間の身体も春の訪れとともに活発な新陳代謝を始め、新しい細胞生成に向けて動き出します。
また、身体だけではなく、精神活動も活発になり、不安定な天候同様、精神のバランスも崩れやすい季節なのです。

春は、五行は木気の肝が盛んになる季節。
冬に水気の蓄えが不足してたり、春になって木気を養うことが足りないと、肝に異常を生じます。
肝機能が衰えると、目、筋肉、神経、爪などに症状があらわれます。
春になると、目がかすみ、体がだるくてイライラするのは、肝の機能低下によるものです。

肝を養う春の食材は、菜の花、からし菜、セロリ、アスパラガス、春菊、レバー、
あわび、しじみ、あさり、胡麻、はちみつ、うど、いわし、筍、新じゃが、新玉ねぎ、
豌豆(えんどう)、さやいんげん、青紫蘇 などです。

肝を養う漢方では枸杞子(クコの実)、五味子、なつめ等を使います。
クコの実を使うと、いかにも薬膳料理って感じがしますね。

枸杞(クコ)はナス科で、日本から中国、台湾、マレー半島などのアジア東部に広く分布する落葉の低木です。

昔は、川の縁や土手、海辺などによく自生していましたが、最近はとんと見かけなくなったようです。
園芸店には、売ってたなあ。

茎が蔓状に伸びて、淡紫色の可憐な花が咲いた後、秋になると1cm位の小さな赤い実(クコ子)がなります。
クコは、葉を生のまま、あるいは調理して食べれば、強壮・強精に効果があるといわれます。
若葉はおひたしやあえ物、みそ汁の具にしてもおいしいものです。
葉をゆでてきざみ、ご飯にまぜたクコ飯もなかなかおつなものです。
ほかに、さっとゆでてふきやうどといっしょに酢の物にしたり、
野菜炒めのなかへ加えたりと、いろいろな料理法があります。

野草のなかでは案外抵抗なく食べられるものですから、自生してるのを見つけたり、
庭木であるなら、普段から色々な料理に用いるといいですね。

中国の古い薬学書『神農本草経』のなかには、命を養う薬として、このクコがとりあげられています。

中国では古代から、強壮薬、長命の薬として用いられてきました。

クコ、サイカチ、アケビの葉をまぜて作った茶を飲んだ人が、200歳まで生きたという逸話があるほどです。
日本には平安時代に伝わり、文徳天皇はクコの葉を栽培する専用の庭園を持っていたといわれています。

この庭園の管理人はいつもクコをとっていたためか、120歳まで生きたといわれますから、
中国でも日本でも、クコの薬効はおおいに評価されていたのでしょう。
強壮剤として用いられてきたのは、オレイン酸などクコがもつ血液を清める作用のためです。

葉は陰干しにして煎じるとクコ茶になりますし、実は「クコ子」、根は「地骨皮」という漢方薬になります。

地骨皮とは、クコの根が骨のような形をしているところから名づけられたようです。

春に摘み、干して煎じた茶は、疲労回復に効果があるとされています。
一方、夏すぎの新葉で作った茶は、冷え症に効くといわれます。

しかし、摘む時期はどうであれ、クコ茶には胃腸を強化する作用があるので、
飲みつづけていれば体力もつき、からだの
いろいろなトラブルも自然に解消するでしょう。

クコ子にはビタミンB1、B2、ルチンなどが含まれているため、
これをとっていると血管がじょうぶになり、動脈硬化などの予防にもなるといわれます。

地骨皮は煎じて飲むと、せきやたん、解熱に効果があります。

クコの実には、補肝・補腎・明目作用があり、
特に目の老化、視力低下、飛蚊症・白内障に効くので、
昔から四十歳を越える人には常食されてきました。

この季節、目が疲れて乾く、しょぼしょぼする、チカチカする、
ゴロゴロするなどという方には、お勧めです。

仮性近視や、パソコン作業による目の疲れにも効果がありますよ。

ここでは、薬局や自然食品店で簡単に手に入るクコ子(クコの実)を使って、簡単な薬膳料理を作ってみましょう!

1. クコの実入り茶
クコの実はウーロン茶、プーアル茶、緑茶、紅茶などに入れる
と、比較的どんなお茶にも合います。

2. むきエビ・アスパラカスのソテー
材料(一人分)
クコの実はお酒に浸しておく。(1人5~6粒)、
しいたけ、エビは酒につけておく。(しなくてもよい)、
1分くらい茹でたアスパラカス

作り方
アスパラカスとしいたけを炒めて、エビを加えて炒める。
塩コショウで味を調えて最後にクコの実を入れる。

3. クコの実入りカニスープ
材料(二人分)
カニ缶詰1缶、卵1個、クコの実 大さじ1、細ネギ1本、片栗粉 小さじ1、
塩コショウ 少々、スープの素(顆粒又は固形)1個

作り方
なべに水1.5カップ、クコの実、スープの素を入れて沸騰させる。
カニを入れ、塩コショウで味を調え、片栗粉でとろみをつけて、とき卵を流し入れる。
かき混ぜてすぐに火を止め、カップに入れてから、きざんだネギを散らす。

恒常的にクコを摂りたい方へ
クコ酒の作り方をお伝えしましょう。

クコの実300gをガーゼに包み、ホワイトリカー1.8リットルに浸けます。

2~3ヶ月経ったら、毎日20~40ml服用するといいです。

実は浸けっ放しにして、少しづつ料理などに使うか、そのまま食べると良いですよ。^^v