アラカルト

30:2006年の通年薬膳考・・・その1 黒の料理

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今年はどうも水の気が焦点になりますが、五行の水気は五色は黒、五臓は腎、五穀は大豆、五畜は豚となります。

豆には色によって様々なのもがありますが、普通大豆といわれているのは、黄大豆のことです。

この黄大豆の薬理的作用については、アメリカをはじめ国内でも注目され、医学的研究、薬学的研究がすすんでいます。

しかし黒豆については栽培地が中国や日本ぐらいに限られるマイナーな作物のためか、
これを研究対象とした論文はまだまだ手付かずの状態のようです。^^;

漢方書では普通の大豆(黄大豆)よりも黒豆の記載のほうが圧倒的に多いです。

黒豆に含まれる成分はグリニシン、レシチン、サポニン、アントシアニンなどですが、
それぞれ大変生活習慣病に効く成分ですね。^^

グリシニンは、大豆のタンパク質の50%近くをしめる成分です。
質も良く、低カロリー、低コレステロールのタンパク質源として注目されています。

コレステロールの排泄を促進し、血中濃度を下げる効能がありますので、
肉や加工食品を多く食べる人には特にお勧め。^^

レシチンは、コレステロールの吸収を抑制し、
また、レステロールの排泄を促進するという働きがあり、
老化防止物質だといわれています。

中性脂肪とコレステロールを溶かしだし、肝臓で分解しますので、
肝臓に症状のある人、胃腸運動の不活発な人、便秘の人などには特にお勧めです。^^

サポニンはいろいろな植物に含まれている配糖体の一種ですが、
過酸化脂質の増加を防ぎ、高脂血症を予防します。

また、高血圧症、動脈硬化症、肝臓障害の改善をします。
さらに、脂質の代謝を促進し、肥満を予防します。

高脂血症が心配な人、血圧の高い人、肝臓が弱い人、肥満気味の人には特にお勧めですよ。^^

アントシアニンは黒豆の皮に含まれる抗酸化物質ポリフェノールの一種で、
視神経の働きを支えているロドプシンという色素の再合成を促して、疲れ目を改善し、視力を向上させます。
また、活性酸素の生成を抑制し、血液をきれいにする作用もあります。

農林水産省の実験で、肝障害のラットにアントシアニンを含むアヤムラサキジュースを飲ませると、
血液中の有害物質が3分の1まで抑えられました。
このことから、アントシアニンには肝機能を向上させることが分かりました。

漢方では、黒豆は補腎(腎の気を補う)効果があり、
腎は水気、肝は木気ですので、水が木を助ける五行相生の理ですよ。

最近の研究では、アントシアニンが血圧を上昇させる酵素の働きを阻害することが分かっており、
血圧抑制効果も期待できます。

そんな優れものの黒豆ですが、どうもおせち料理の煮豆(黒豆の砂糖煮)が尽きれば、見向きされないきらいがあるなあ。^^;

砂糖や甘味の摂り過ぎは、肥満や生活習慣病の元凶であり、土剋水の五行相剋の理で、腎を傷めます。

でんぷん・米も、土に属し、そもそも農業=文明の発達が生活習慣病の発祥の歴史ですもの。^^;

でんぷん過多は、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧、肝機能障害、動脈硬化などの生活習慣病の元凶です。

そこで、黒豆を活用して、ご飯の摂取をひかえる家庭薬膳は如何でしょうか?

黒豆ご飯を作ってみましょう。^^

材料
米 ・・・・・・・・・・ 4カップ
カップ 黒大豆 ・・・・・・・・・・ 1カップ
カップ酒 ・・・・・・・・・・ 大さじ1
塩 ・・・・・・・・・・ 大さじ1
水 ・・・・・・・・・・ 4.5カップ

作り方
1.米はよく洗って、ざるで水切りをしておく。
2.黒豆は洗って布巾で水をふきとる。
3.黒豆を中くらいの火でこげないようにフライパンでいる。
豆の皮にひびが入りかけたら火を止め、洗っておいた米の中へ入れる。
4.米に酒と塩を入れ、普通のごはんと同じように炊く。

今年は、黒と黄色の食物を多く摂り、苦味を補うことが、黄帝内経から導かれた食養生。^^

目刺し(干しイワシ)やシシャモの焼きものなど、
内臓の苦味を含み、頭の先から尻尾の先まで、
一匹に全ての生命を育む要素が丸ごと入っているのをオカズにすればパーフェクト薬膳。(*^_^*)

黒豆にこだわらず、普通の大豆(黄大豆)でも、ゴマやキビなどの雑穀でも、たっぷり混ぜて雑穀ご飯を炊いて下さい。

余ったら、おにぎりにして、海苔を巻いて召し上がれ。

冷えたおにぎりは、酒にも焼酎にも合うんだなあ。~♪